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 ■最高収量を目指す為に


  4、栄養週期栽培法の問題点(マグネシウム)

問題点と申すと、批判的な姿勢に見えますが、全く批判するわけではなく、いくら大天才といえども実在しない資材の研究開発は不可能であり、70年以上前の科学技術では無理のないことであります。

大きくは3つであります。
  1. 硫酸マグネシウムの工業生産(1955年)        大井上靖氏 永眠(1952年) 
  2. 1945年当時の養分蓄積量の違い     リン酸20kg、カリ20kg → リン酸200kg、カリ60kg
  3. 尿素の工業生産(1953年)           
栄養週期栽培法が出版された1944年(昭和19年)以降、大井上靖氏が永眠されるまでどのような仕事をなさっていたか不明でありますが、存命されている昭和19年以降において尿素及び硫酸マグネシウムは、安易に購入できる状態ではなく、購入できない肥料成分を投入する研究は全くなされるはずが無く、実際に1962年に出版されている、故恒屋棟介氏著の”微量栄養素と施肥設計”においても、尿素と硫酸マグネシウムの使用法について僅かしか触れられておりません。

また、苦土石灰などの土壌改良材においても全く記載されておらず、中性肥料である尿素と葉緑素の非常に大事な構成成分である苦土資材を一切使用しない農業技術であると断言できます。

その理由は、重複しますが国内において生産されていない資材を、研究できるはずも無く、この認識の上に栄養週期栽培法を考察することが、特に重要となります。

実際に弊社では、本多ぶどう園のある茨城県常陸太田市において、一時的に”松元塾”なるぶどう栽培農家10名ほどの勉強会が行われていましたが、硫酸カリウムの投入により山梨県のりんごなど前年に多くの収益性を実現でき、本多ぶどう園でも不作の年に一定以上の成果を挙げれたことで実現できた勉強会でした。

栄養週期栽培法の曇天時のカリウム使用は、イギリスなどの国でも採用されているようで、非常に有効な技術でありますが、勉強会の年には、花芽分化期から天候不順で、前年にカリウムを積極的に追肥した本多さんも、巨峰の不稔が沢山認識できると共に、枝の2次伸長を止めることが出来ませんでした。

大方の巨峰が不稔であるところで、しっかりと着果しているぶどうの枝を分析したところ、不稔である本多さんの枝のリン酸及びマグネシウムが、1/5程度の養分しか蓄積しておらず、土壌分析上でも、本多さんの苦土カリ比(Mg/K)が0.8で、着果したぶどうの土壌は、苦土カリ比が2.5でありました。

苦土資材について、古本屋で探し当てた文献(作物の苦土欠乏について、長野県農業試験場、1955年8月)に注目すべき文書が記載されており、自分が経験したカリ投入による苦土欠乏が、不稔を引き起こしたことが明確に認識できました。


その内容は、明らかに冷害対策としてのカリ投入の行き過ぎにより苦土欠乏が発生していることへの警告であり、時期的に、栄養週期栽培法のカリ施用の概念が、一般化し習慣的な使用により、偏った肥料の使用方法が、また別の害作用を表した、端的な事例であります。

つまり、栄養週期栽培法では、苦土カリ比の認識は全く示されておらず、また、戦後の化学肥料に頼った施肥(栄養週期栽培法は、有機質肥料を少なからず否定的で化学肥料を推奨)が偏重したことを述べており、大井上靖氏が永眠した後の、恒屋棟介氏を中心とした、日本巨峰会でも、この点において技術を進歩させることが出来なかったようです。

”微量栄養素と施肥設計”において、苦土が葉緑素の構成元素であると記載しているなかで、石灰/苦土比についての記載はありますが、苦土/カリ比について、僅かに記載し、その起こる確率が非常に少ないことのように記載されています。

また、ぶどう、稲、トマトなど主要作物について詳細に施肥時期、資材、散布量について記されているが、
苦土の使用については一切記されておらず、特用作物とされる”こんにゃく”について初めて苦土資材(マグネシア)として投入量が記されており、カリ3.8〜7.5kgに対して、188〜375gのマグネシアを投入する旨を記載しており、これはマンガン188〜375gと等量であり、全く微量要素としての扱いと同じとなっており、その他では”イグサ”について150gの投入は、実にマンガンの半分量で行うことを記載しているだけであります。

後に詳細に説明する必要があると思われますが、筆者の認識では、栄養週期栽培法の最大且つ、根本的な問題点は、塩基バランスの中核である、苦土の役割を軽んじており、且つ1955年の長野県農業試験場の論文に対して、真摯な態度で臨まないことを大井上靖氏無き日本巨峰会の技術革新が行わなかったことが最大の問題点であり、70年近い現在までにその論評を行った人物がどこかにいたとしても、それを現在も発売されている、新栽培技術の理論体系に組み込まないことが、栄養週期栽培法を却って、過去の技術にさせた最大の原因であると結論付けることが出来ます。

筆者は、栄養週期栽培法が展開している、植物栽培への理論体系には、一点の誤謬は無く、完璧といえないまでも、それを理解し、応用することでおいしく作りたければよりおいしく、沢山とりたければ沢山とれ、その両方を実現できる、すばらしい理論と信じております。

それだけに、誤謬がある場合にそれを修正する必要があり、それを日本巨峰会が行わない以上、勝手にこれから記載する理論体系を

         新栄養週期栽培法

と命名したいと思っております。
15年間の研究実践により、その体系は明確に70年前の栄養週期栽培法に欠落している、苦土の使用方法を記載する用意があり、それがリン酸の吸収、天候不順による不稔、多収穫を実現できる葉緑素の健全維持を実現し、最高収量を栄養週期栽培法により実現するためのものであります。

とりあえず”新栄養週期栽培法”と記載したく横道にそれましたが、次の問題点にいきます。

5、栄養週期栽培法の問題点(土壌養分蓄積量))  へ進む
 

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